さよなら愛しき弟
1.始まりは全て最初から
「ガタン……ッ。気がついたら僕は押し倒されていた。」
あまりにも突然のことだったので状況を把握するのに
時間がかかった。数分前のことを遡ってみよう。
--数分前.
僕には義理の弟がいる僕より5こ下の可愛い弟だ。
僕は一応義理の弟の両親から直々に
家庭教師として雇われていた。
義理の弟は僕の唯一の癒しだった。
何をするのにも「これ何?教えてお兄ちゃん」と
僕の話全てに興味を示してくれた。
義理の弟は僕のことを実の兄のように慕ってくれた。
僕も義理の弟としてではなく実の弟として
可愛がっていた。
今日はその可愛い可愛い俺の唯一の癒しとなる弟の
誕生日だ。弟は5こ下と言っても
15歳の立派な高校1年生だ。
挨拶もできて勉強も完璧にこなし
高校での活躍ぶりもあってからか
周りからの厚い信頼を受けている。
あぁ、なんて優秀な弟だろうか。
僕は心から誇らしく思っていた。
僕は日頃から良き行いをしている弟の為
誕生日プレゼントを今年も送ることにした。
一昨年は……クマのぬいぐるみのストラップ
未だにリュックのチャックに付けている。
去年は……シャーペンと消しゴムを買ってやった。
何故か使っていた所を見たことがない。
きっと気に入らないデザインだったのだろう。
そして今年は何にしようかと
ショッピングモールに来てみた。
周りのオシャレなお店やカフェなどを周り
何時間悩んでいたのだろう。
約3時間程度だっただろうか。
そして悩みに悩み込んだ結果……….